我が家の軌跡(奇跡) 64
妹は何も自分でする事が出来ない。形のある物は母が噛み砕いてあげていた。雑炊、うどん、お餅が好きでほとんど丸飲み。当然虫歯だらけ。てんかん発作があった為、ヒダントイン歯肉増殖もあり、口は臭かった。歯科大に通うようになってからブラッシングしようとしたが、今更である。嫌がって全然出来なかった。自治医大に越して来たなら、口腔外科で全身麻酔下で治療が出来ると思っていたし、学生寮の前に広がる芝生で日光浴してあげる事を楽しみにしていた矢先、引っ越して1週間目に、母からひーちゃん(妹の愛称)がダルそう、立たせても直ぐ座り込んでしまう、ドス黒いのを吐いた!と電話が来た。科長に許可を得てすっ飛んで職員住宅に行くと、2階の部屋に血の塊のような黒っぽい吐物とグッタリした妹が居た。直ぐに妹をおんぶして外来に連れて行き、担当医に状況を説明したが、検査が出るまで時間かかるので取り敢えず家に戻ってと言われた。3ヶ月前に輸血を受けてるんです!血液混じりのドス黒いのを吐いてます。劇性肝炎じゃないかと思います。このまま入院させて下さい!と頼んだ。
妹はやはり劇性肝炎で、ICUに運ばれた。
母はのちに、小さいあんたが広い構内をひーちゃんをおんぶして行ってくれたのにはビックリしたと言ってた。
2025年9月19日 (金)
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